花をいけることと、組織を育てることは、よく似ている。
組織づくりは、足し算ではありません。
一人ひとりの個性が調和する「余白」をつくることなのだと思います。
花は、多ければ美しいわけではありません。
「たくさん花を入れれば、もっと華やかになる。」
そう思われることがあります。
でも、いけばなの世界では、必ずしもそうではありません。
一本を引く。
枝の向きを変える。
葉を一枚落とす。
その小さな変化だけで、作品全体の印象が大きく変わることがあります。
美しさとは、何かを足すことではなく、何を残すかを選ぶことなのです。
組織も同じだと思っています。
会社でも、「もっと会議を増やそう」「もっと制度をつくろう」「もっと施策を増やそう」という話をよく耳にします。
もちろん、それが必要な場面もあります。
しかし、本当に組織が変わる瞬間は、何かを増やしたときではなく、
一人ひとりが自分らしく力を発揮できる余白が生まれたときではないでしょうか。
主役は、一輪でいい。
いけばなには「主枝」という考え方があります。
作品の中で、一番伝えたい存在です。
他の花は、その主枝を引き立てるためにあります。
だからといって、脇役の花に価値がないわけではありません。
それぞれに役割があります。
組織も同じです。
全員が主役になろうとすると、組織はまとまりません。
しかし、誰か一人だけが輝けばいいという話でもありません。
その時々で主役が変わり、互いを支え合える組織こそ、美しい組織だと思います。
調和とは、「同じ」であることではありません。
いけばなは、同じ種類の花だけで構成することはあまりありません。
高さの違う枝。
咲き始めた花。
つぼみ。
葉。
それぞれ違う表情を持っています。
だからこそ、作品に奥行きが生まれます。
組織も同じです。
営業には営業の視点があります。
開発には開発の視点があります。
カスタマーサクセスには、お客様に寄り添う視点があります。
管理部門には、会社全体を支える視点があります。
違うからこそ、価値があります。
違うからこそ、対話が必要になります。
花は、思いどおりには咲きません。
毎週、花に触れていると、自然の面白さを感じます。
昨日までつぼみだった花が、翌朝には美しく咲いていることがあります。
反対に、一番きれいだと思っていた花が、翌日には役目を終えていることもあります。
人も同じです。
成長するタイミングは、それぞれ違います。
リーダーにできるのは、「早く咲け」と急かすことではありません。
その人が力を発揮できる環境を整え、信じて待つことです。
私は、会社も一つの作品だと思っています。
いけばなには、完成という言葉がありません。
季節が変われば、花も変わります。
飾る場所が変われば、いけ方も変わります。
だから、毎回が新しい作品です。
会社も同じではないでしょうか。
市場が変われば、組織も変わります。
メンバーが変われば、役割も変わります。
大切なのは、「完成形」を目指すことではなく、その時々に最も美しい調和をつくることです。
最後に
花をいけることと、組織を育てること。
一見すると、まったく違う世界のように思えます。
でも、私の中では、どちらも同じ問いにつながっています。
「この場所で、一人ひとりが一番美しく見えるには、どうすればいいだろう。」
その問いを持ち続けること。
それが、リーダーの役割であり、マーケティングの本質であり、FtheCotが大切にしている「対話」なのだと思っています。
編集後記
花は、自分では場所を選べません。
人もまた、環境によって力を発揮できたり、できなかったりします。
だから私は、「人を変える」よりも、「人が自然に力を発揮できる場をつくる」ことを大切にしたいと思っています。
一本の花が美しく見える余白のように、一人ひとりが自分らしく咲ける組織を育てること。
それは、経営でも、マーケティングでも、そして人生でも変わらないテーマなのかもしれません。